代表世話人よりご挨拶
乳癌画像研究会は1992年1月25日に第1回が開催され、すでに30年を超えて持続してきた研究会です。乳腺画像に興味のある医療従事者により立ち上げられ、会が開始されたときには、目次はA3紙を半分に折った形のシンプルな形であったことを記憶しています。しかし、熱意ある討論を目のあたりにして、まだ駆け出しだった私は、本当に多くのことを学ばせていただきました。
この30年、乳腺診療は本当に大きく変遷してきています。画像に関しての最も大きな変遷の一つとして、アナログからデジタルへの移行が挙げられると思います。デジタル技術が取り入れられたことで、マンモグラフィも乳房超音波も大きく変化しました。マンモグラフィではトモシンセシスも広く普及しつつあり、また造影マンモグラフィを利用されている施設もあると思います。超音波では、血流情報、エラストグラフィなどの技術、そして現在わが国ではハンドヘルドの超音波が主流かと思いますが、AVUSなどの技術も今後の普及が期待されます。さらにMRI、PETなどの様々なモダリティが利用可能となり、臨床に大きく貢献できる状況となっています。検診においても診療においても画像はなくてはならない位置にあり、どのように利用していくのがよいのか、持続的な討論が必要です。乳腺の画像を討論する研究会、学会はほかにもありますが、超音波を中心に、あるいはMRIを中心に、といったものが多く、すべての画像を網羅し、その関連や利用を幅広く討論できるのは私たちのこの研究会をおいてないかと思います。AIについてもすでに多くの研究がありますが、検診、臨床の場にAIを利用していくことが確実に広がっていくでしょう。
乳腺の治療についてもその進化は目を見張るものがあります。それにつれて、画像的にも治療に関連した理解をしていく必要が生じています。治療の関連事象としては乳房自身の画像診断だけではなく、全身の画像診断を有効に利用していくことが望まれます。また遺伝性乳癌卵巣癌症候群についてもどのように画像を利用していくか、今後も討論が求められるものと考えます。
現在、医師、技師、看護師など様々な職種が参画し、いろいろな角度からの発表を拝聴できる場に成長しています。ぜひ興味を持たれる方々に声をおかけし、今後も研究の発表、情報交換などの場として利用いただきたいと思います。皆様のお力で日本の乳腺診療に有用な研究会にしていきましょう。
代表世話人 聖路加国際病院 院放射線科 角田博子