論文名 :
Development of a deep learning-based automated diagnostic system (DLADS) for classifying mammographic lesions — a first large-scale multi-institutional clinical trial in Japan
掲載誌 :Breast Cancer. 2025. doi:10.1007/s12282-025-01741-3
著者 : Yamaguchi T, Koyama Y, Inoue K, Ban K, Hirokaga K, Kujiraoka Y, Okanami Y, Shinohara N, Tsunoda H, Uematsu T, Mukai H
【 マンモグラフィ病変分類を目的とした深層学習ベース自動診断システム(DLADS)の開発
― 日本初の大規模多施設臨床試験 ― 】
<目的>
マンモグラフィ読影ではダブルリーディングが一般的であるが,読影医の負担が大きい.一方,既存のAI-CADの多くは欧米女性のデータを基に開発されており,日本人女性における有効性は十分に検証されていない.本研究では,日本人女性のマンモグラフィ画像を用いて深層学習によるAI-CADxシステム(DLADS)を開発し,大規模多施設データを用いてその診断性能を検証することを目的とした.
< 方法 >
日本国内63施設から収集したマンモグラフィ画像20,638枚(11,450例)を用いてAI-CADxシステムを開発した.内訳は乳癌5,019例,良性5,026例,正常10,593例であった.データは症例単位で訓練・検証・テスト(8:1:1)に分割した.
AIモデルは畳み込みニューラルネットワークを基盤とした構造を用い,スライディングウィンドウ法によりマンモグラム上の病変候補を検出した.病理診断を基準として病変をアノテーションし,ヒートマップの濃度勾配が15%以上の場合に悪性病変ありと判定した.主要評価項目は乳癌診断において感度および特異度が80%以上を達成することであった.
<結果>
テストデータセット(2059枚)におけるAI-CADxの診断性能は以下の通りであった.
- 感度:83.5%
- 特異度:84.7%
- 正診率:84.4%
- AUC:0.841(95%CI 0.822–0.859)
また,乳腺濃度,マンモグラフィ所見,腫瘍病理型,撮影装置メーカーの違いによらず,概ね安定した診断性能を示した.
<結論>
日本人女性のマンモグラフィ画像を用いた大規模多施設データによりAI-CADxシステムを開発し,乳癌診断において80%以上の感度および特異度を達成した.本システムは,日本の乳癌検診における読影支援ツールとしての有用性が期待される.今後は医師読影におけるセカンドリーダーとしての臨床的有効性を検証する前向き研究が計画されている.